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香川県坂出市にあるどうぶつ病院です
稲田どうぶつ病院
香川県坂出市江尻町1264-3
電話 0877-46-7384


稲田どうぶつ病院

 住所:香川県坂出市
        江尻町1264−3
 Tel:0877-46-7384

 診察時間:9:00−12:00
       15:00−19:00

休診日:日曜・祝日・木曜午後

フィラリア症について
フィラリア症とは?

 犬糸状虫(Dirofilaria immitis)の成虫が主に心臓の右心系に寄生することによっておこる犬の疾患である

どうやって病気にかかるのか?

  フィラリア症は蚊の吸血によって感染が成立します

            ミクロフィラリアを運ぶ蚊の種類

  
  シナハマダラカ       コガタアカイエカ        トウゴウヤブカ
                      参考HP:http://www.gaityu.jp/kansensyoslide.pdf

感染方法
  1. 蚊がフィラリア陽性犬のミクロフィラリアを血液と一緒に吸引
  2. 蚊の体内(腎臓のマルピーギ管)で発育し2度の脱皮でL3(感染子虫となり、蚊の口吻部に移動する
  3. 新たに吸血する際に感染子虫は口吻の外に出て、吸血時に生じた穴から体内に侵入する
  4. 犬の体内に侵入したL3(感染子虫)は10日前後で脱皮してL4(体内移行幼虫)となる
  5. L4は皮膚から組織(皮下、筋肉、脂肪など)に移行する
  6. L4は2〜3か月でL5(未成熟虫)となり血管に侵入する
  7. 血流にのって心臓の右心室・肺動脈に移行したL5は成長し感染後約4か月で成虫になる
  8. 感染後7〜8か月で成熟したメスはL1(ミクロフィラリア)を生むようになる。
ミクロフィラリア 実際に感染犬から採取したものです
※大きな音が出る場合がありますので注意してください
フィラリアの成虫です  実際に心臓より摘出したものです
フィラリアの寿命:5〜6年といわれています
長さ:約30cm                

  

フィラリア症の症状
右心室、肺動脈寄生による静脈系の(右心系)の循環不全を起こし、それに伴い様々な臨床症状を呈します
  1. 食欲が減退し、体重が徐々に減少してきます
  2. 疲れやすくなり、散歩などの運動を嫌がるようになります
  3. 運動時、興奮時に咳が出てくるようになる
  4. 毛つやが悪く、痩せてくる 次第にお腹が大きくなりはじめる(腹水の貯留)
  5. のどの奥にものが詰まったような咳、ぜーぜーとした咳をする
  6. 突然血尿(赤ワイン様の色)をする。貧血・循環障害をおこし、口の中が真っ白になる。元気・食欲廃絶、起立できなくなり死亡する
フィラリア症の検査法

  ワンちゃんから微量採血させていただき検査を行います

  ◎ミクロフィラリアの検出

  採血した血液を直接顕微鏡で観察し、ミクロフィラリア(上のビデオ参照)を見つけます。このミクロフィラリアの出現には周期性(日中は体表の血管には出てこなく、夜間に移動する)があるためミクロフィラリア陰性でも感染を否定はできません。

  ◎抗原検査法
 
  フィラリアのメスが出す分泌物を抗原とし、それを検出する検査。さまざまな検査キットが出ています。血液を滴下し、数分後に検査を判定します

結果判定

陽性:フィラリア感染(厳密にはメスの感染がある)
    フィラリアが死亡していても、血中の抗原は16週は残存
    また手術により完全に除去されても抗原は残ります

陰性:フィラリア症に感染していない
    未成熟なフィラリアのみ感染⇒検査で検出する抗原を作れない
    オスのみの感染
    寄生数が少なく(1〜3匹以下の感染)⇒検出限界
 
 上記のようにフィラリア症に感染していても検査結果が陰性と出てしまうオカルト感染がフィラリア症に見られるため注意が必要です
 
 検査が陽性になるのに感染からかかる時間

   ◎抗原検査陽性・・・・・・・・・・約5か月
   ◎ミクロフィラリア検出・・・・・・約6.5か月 

              参考文献:AHS(American Heartworm Society)ガイドライン2002年度版
                       infovet 2004 jan vol.7 no.1 犬糸状虫症に関する最新知見



フィラリアの予防方法

        
                図:ノバルティス アニマルヘルス株式会社 HPより引用

毎月1度お薬を飲むだけでフィラリア症は予防できます

投与期間:蚊が出てから1か月、蚊がいなくなってから1か月が目安

フィラリア予防薬は飲んでから1か月間効果が持続するのではなく、飲んだときに体の中にいるミクロフィラリア第4期子虫をやっつけてくれます。毎月必ず飲むことによって体内でミクロフィラリアが生存できない状態にする、つまり予防薬と表現していますが、実際には駆虫薬の働きも兼ねていると言ってもいいかもしれません。よって、蚊が出てから1か月以内、蚊がいなくなってから1か月後まで投与期間になります

2013年度より注射によるフィラリア予防を始めました。一回の注射で12か月間フィラリア予防の効果が続きます。お薬を飲むのに大変苦労する子にはお勧めです

フィラリア予防薬について

  
 予防薬には錠剤タイプとチュアブル(お肉のような触感のお薬)タイプを主に使っております。薬が全く飲めない、吐き出してしまうなどと投薬に問題のある子にはスポットオン(背中にたらし皮膚から吸収する)タイプなどもあります。投与量は体重に応じて決められています

2013年度から注射によるフィラリア予防も始めました。お薬を飲むのがとっても難しい子にも簡単に予防することができます。注射の効き目は12か月持続します。ワクチンと同じように注射による副反応が起こると報告もありますので詳しいことは病院スタッフにお聞きください。

フィラリア症のまとめ

  犬フィラリアのライフサイクル(動画)
                  DSファーマアニマルヘルス株式会社ホームページにリンク

  フィラリア症は予防できる病気です。一人でもこの病気にかからぬようにするには人間の努力が必要です。予防期間にはしっかりとお薬を飲ませてあげてくださいね