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香川県坂出市にあるどうぶつ病院です

稲田どうぶつ病院
香川県坂出市江尻町1264-3
電話 0877-46-7384

稲田どうぶつ病院

住所:香川県坂出市江尻町1264-3
Tel:0877-43-4885
診察時間:9:00-12:00
      15:00-19:00
休診日:日曜・祝日・木曜日午後

たべてはいけないもの


 どうぶつ達は人間と違う体をしております。人間では全く問題のない食べ物でもどうぶつ達には多くの害をもたらすものがあります。
また人間が中毒を起こすようなものもどうぶつ達に中毒を起こします。すべての中毒を表記するのはできませんので最近注目されているものをあげてみます

 万が一中毒を起こすものを食べさせてしまったら、具体的な摂取量、製品名(製品が分かる袋や容器)、接種時間、接種後の症状等が分かれば治療に大変役に立ちます。



どうぶつに害を及ぼす食べ物

タマネギ類

(タマネギ・ネギ・ニラ・にんにくなど)

タマネギなどには血液を壊してしまう物質が含まれております。これは熱を加えても分解されません。赤血球といわれる酸素を運ぶ血球を壊してしまい溶血性貧血をおこします。症状は可視粘膜蒼白(唇が白くなる)、元気消失、食欲不振、呼吸速迫など様々な症状を呈します

焼肉のたれ、タマネギの入った鍋、市販のベビーフードなどを食べてこの貧血を起こす子がいます



赤血球の表面にでべそのように見えるのがタマネギを食べた時に見られるハインツ小体です


ブドウ・乾しブドウ(レーズン)


ここ数年症例の報告があり注目されているのがブドウです。不可逆性の急性腎不全を起こすといわれております。多くの研究がなされていますが、ぶどうの成分のうちどの物質が腎臓に悪影響を及ぼすかはまだわかりません

急性腎不全を起こす量(体重1㎏あたりの投与量)

ぶどう:19.85g
レーズン:3.11g

意外と知られていない害なので注意が必要です


            キシリトール中毒

 キシリトールとは人工甘味料の一つでヒトではカロリーが気になる人にとっては非常に重要な甘味料の一つです。インスリンの作用に影響受けず(血糖値の上昇・インスリンの分泌促進など)に細胞内に吸収されるため点滴に入っていたり、特定の細菌増殖を抑制するために口腔ケア商品に使われたりしています。ヒトではたくさん食べると下痢をするといわれているがそれ以上の異常は特に見られません


    ただしワンちゃんの体内では全く異なることが起きます


 ワンちゃんにキシリトールを与えると強力なインスリン分泌作用を起こします。分泌されたインスリンは血糖を低下させ、血糖の低下は、程度によりますが、意識の低下、脱力、昏睡、けいれんなどを起こします。犬のキシリトールの毒性はこの低血糖によっておこります。そして肝臓に対しても多大な毒性をもたらすと近年報告されています


    ネコちゃんはそのような関連は調べられていません


         実際にアメリカで報告された症例

  1. 3歳去勢済みスタンダートプードル:5~6枚のクッキーを食べた
  2. 5歳避妊済みのスコティッシュテリア:30個のガムを食べた
  3. 6歳の避妊済みラブmix:450gのキシリトールパウダーを食べた
  4. 7歳の避妊済みダックス:100個のガムを食べた
  5. 4歳避妊済みオーストラリアンシェパード:12個のカップケーキ
  6. 8歳避妊済みラブラドール:40gのキシリトールパウダーを食べた
  7. 6歳避妊済みのダルメシアン:8個のマフィンを食べた
  8. 4歳去勢済みのスプリンガースパニエル:キシリトール入りのマフイン



みんな飼っている方が目を離したすきに食べてしまったみたいです


この8頭中5頭が死亡もしくは安楽死となりました。死亡の原因は肝障害でそれぞれの製品に含まれるキシリトールの量は不明です

 摂取後24時間から48時間で症状が出たと報告されてますが、一般的にワンちゃんではキシリトール摂取後に嘔吐がみられるといわれています。低血糖の症状は摂取後30分から60分後に認められることが多いと報告されています。


       キシリトールの中毒量

         0.1g/kg以上の摂取で低血糖症を起こす
        0.5g/kg以上の摂取で急性肝不全を起こします

     一般的に市販しているキシリトール製品の含有量

外観が円錐の形状をした容器に入っている一般的なキシリトールガム

 一パックの重さが90gで、一粒が約1.5gですので60粒入っています。この製品は90g中にキシリトールが30.4g(約1/3)含有しています。よって一粒中には約0.5gのキシリトールが入っていると考えられます


             10kgのワンちゃんならば


 1gの摂取で低血糖症状、5gの摂取で急性肝不全を起こすことが考えられます。つまりこの製品に換算すると、2粒食べたら低血糖発症、10粒食べたら急性肝不全を発症する可能性があります。


甘いにおいをしておりワンちゃん達はとても興味を持つと思われます。届かないところに保存しなければ、きわめて少ない摂取量で様々な中毒を起こすことが想定されます。



治療方法

病院に来院していただき、血液検査、静脈内輸液、D-グルコース投与
、肝庇護剤、抗酸化薬などを投与し状態の安定化を図ります。


一番はキシリトール入りの製品をワンちゃんの届かない場所に保管・管理してください

参考HP
日本獣医学会 犬のキシリトール中毒について
埼玉県獣医師会 犬のキシリトール中毒にご注意!!



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