キシリトール中毒
キシリトールとは人工甘味料の一つでヒトではカロリーが気になる人にとっては非常に重要な甘味料の一つです。インスリンの作用に影響受けず(血糖値の上昇・インスリンの分泌促進など)に細胞内に吸収されるため点滴に入っていたり、特定の細菌増殖を抑制するために口腔ケア商品に使われたりしています。ヒトではたくさん食べると下痢をするといわれているがそれ以上の異常は特に見られません
ただしワンちゃんの体内では全く異なることが起きます
ワンちゃんにキシリトールを与えると強力なインスリン分泌作用を起こします。分泌されたインスリンは血糖を低下させ、血糖の低下は、程度によりますが、意識の低下、脱力、昏睡、けいれんなどを起こします。犬のキシリトールの毒性はこの低血糖によっておこります。そして肝臓に対しても多大な毒性をもたらすと近年報告されています
ネコちゃんはそのような関連は調べられていません
実際にアメリカで報告された症例
- 3歳去勢済みスタンダートプードル:5~6枚のクッキーを食べた
- 5歳避妊済みのスコティッシュテリア:30個のガムを食べた
- 6歳の避妊済みラブmix:450gのキシリトールパウダーを食べた
- 7歳の避妊済みダックス:100個のガムを食べた
- 4歳避妊済みオーストラリアンシェパード:12個のカップケーキ
- 8歳避妊済みラブラドール:40gのキシリトールパウダーを食べた
- 6歳避妊済みのダルメシアン:8個のマフィンを食べた
- 4歳去勢済みのスプリンガースパニエル:キシリトール入りのマフイン
みんな飼っている方が目を離したすきに食べてしまったみたいです
この8頭中5頭が死亡もしくは安楽死となりました。死亡の原因は肝障害でそれぞれの製品に含まれるキシリトールの量は不明です
摂取後24時間から48時間で症状が出たと報告されてますが、一般的にワンちゃんではキシリトール摂取後に嘔吐がみられるといわれています。低血糖の症状は摂取後30分から60分後に認められることが多いと報告されています。
キシリトールの中毒量
0.1g/kg以上の摂取で低血糖症を起こす
0.5g/kg以上の摂取で急性肝不全を起こします
一般的に市販しているキシリトール製品の含有量
外観が円錐の形状をした容器に入っている一般的なキシリトールガム
一パックの重さが90gで、一粒が約1.5gですので60粒入っています。この製品は90g中にキシリトールが30.4g(約1/3)含有しています。よって一粒中には約0.5gのキシリトールが入っていると考えられます
10kgのワンちゃんならば
1gの摂取で低血糖症状、5gの摂取で急性肝不全を起こすことが考えられます。つまりこの製品に換算すると、2粒食べたら低血糖発症、10粒食べたら急性肝不全を発症する可能性があります。
甘いにおいをしておりワンちゃん達はとても興味を持つと思われます。届かないところに保存しなければ、きわめて少ない摂取量で様々な中毒を起こすことが想定されます。
治療方法
病院に来院していただき、血液検査、静脈内輸液、D-グルコース投与
、肝庇護剤、抗酸化薬などを投与し状態の安定化を図ります。
一番はキシリトール入りの製品をワンちゃんの届かない場所に保管・管理してください
参考HP
日本獣医学会 犬のキシリトール中毒について
埼玉県獣医師会 犬のキシリトール中毒にご注意!!